さて、先月納車されたX-ADVですが、年末のすったもんだの時期に納車されてちょうど2ヶ月、走行距離が3,000km迫ろうとしているところです。
X-ADV(RH21)のポテンシャルを最大限に引き出すための「ライディングモード」設定を少し詳しく詰めてみました。納車直後の方から、設定に迷っている熟練ライダーまで、実用性を重視した構成です。
X-ADV(RH21/他の型式でも近い値が使えると思います)の最大の魅力は、ライダーの好みや状況に合わせて電子制御をプリセット4種とUSER設定2つを使って細かくカスタマイズできる点にあります。しかし、設定項目がわかりにくく「どれが正解かわからない」という方も多いはず。今回は、実用性を極めた「2つの神ライディングモード」を軸に、シチュエーション別の全8パターンのプロファイルをご紹介します。
1. 目的別:おすすめライディングモード8選
路面状況や気分に合わせて使い分けたい、8つの設定リストです。USER設定に割り当てる際の参考にしてください。
| 構成名 | P | EB | T | D | コンセプト・主な用途 |
| ① 常用ベスト(★推奨) | 2 | 1 | 2 | 2 | 街乗り・常用。最もストレスがない黄金比。 |
| ② 極上スムーズ(★推奨) | 3 | 1 | 3 | 3 | 雨天・タンデム・疲労時。挙動を徹底的に穏やかに。 |
| ③ シルキークルーズ | 1 | 1 | 3 | 1 | 燃費と静粛性重視。深夜の住宅街やバイパス巡航に。 |
| ④ ハイウェイ・パトロール | 3 | 1 | 2 | 2 | 高速道路での追い越し加速重視、巡航は穏やかに。 |
| ⑤ ワインディング・マイスター | 1 | 3 | 1 | 4 | 山道専用。高回転を維持し、立ち上がりで弾ける。 |
| ⑥ ダート・エクスプローラー | 2 | 2 | 1 | 3 | 未舗装路用。トラクションと扱いやすさを両立。 |
| ⑦ 渋滞ストッパー | 3 | 3 | 3 | 1 | 超低速のノロノロ運転用。エンブロで車間を調整。 |
| ⑧ スポーツ・エディション | 1 | 2 | 1 | 3 | 既製SPORTモードより少し扱いやすく、かつ速い設定。 |
🏍️ X-ADV(RH21)ライディングモード詳細解説
ホンダ X-ADV(RH21)の8種類のライディングモードについて、それぞれのキャラクターが被らないよう整合性をとりつつ、自分好みに微調整(改善)するためのポイントを詳しく解説します。各モードの数値を比較すると、それぞれの「役割」が明確になります。
① 常用ベスト(★推奨)
- 設定:P2 / EB1 / T2 / D2
- 詳細: X-ADVの「低速でのギクシャク感」をEB1で消し、D2で「あと少しの加速力」を補った、実用域の完成形です。
- 改善点: 燃費をさらに伸ばしたい場合は、巡航時にDを「1」に落とすと早めにシフトアップします。
② 極上スムーズ(★推奨)
- 設定:P3 / EB1 / T3 / D3
- 詳細: 安全性を最優先しつつ、D3で回転数を維持して「粘り」を出した設定。雨の日のスリップやタンデム時のショックを最小限にします。
- 改善点: 雨の日でももっとダイレクト感が欲しい場合は、Pを「2」に戻すとレスポンスが改善します。
③ シルキークルーズ
- 設定:P1 / EB1 / T3 / D1
- 詳細: 「①常用ベスト」との違いは、P1で追い越し時のパワーを確保しつつ、D1で極限まで回転数を下げる点です。高速道路やバイパスでの一定速度走行に特化しています。
- 改善点: 追い越しをかけないのんびり旅なら、Pを「3」に下げるとさらに穏やかになります。
④ ハイウェイ・パトロール
- 設定:P3 / EB1 / T2 / D2
- 詳細: 「①常用ベスト」との違いは、P3にしている点。高速道路でスロットルを大きく開けても急加速しすぎず、長距離巡航での右手の疲れを軽減します。
- 改善点: 合流でパワーが足りないと感じるなら、Pを「2」へ。
⑤ ワインディング・マイスター
- 設定:P1 / EB3 / T1 / D4
- 詳細: 純正の「SPORT」に近いですが、T1にすることで脱出時の介入を最小限にしています。EB3で強力なバックトルクを使い、コーナーへ飛び込めます。
- 改善点: エンジンブレーキが利きすぎてギクシャクする場合は、EBを「2」に下げるとコーナーでのパーシャル維持が楽になります。
⑥ ダート・エクスプローラー
- 設定:P2 / EB2 / T1 / D3
- 詳細: 「⑤ワインディング」との違いは、P2/EB2に抑えている点。未舗装路でリヤを流しやすくしつつ、扱いやすさを残しています。
- 改善点: リヤを全く滑らせたくない場合は、Tを「3」へ。
⑦ 渋滞ストッパー
- 設定:P3 / EB3 / T3 / D1
- 詳細: 「②極上スムーズ」との違いは、EB3にしている点。アクセルオフだけで強い制動がかかるため、ブレーキレバーを握る回数を減らし、ノロノロ運転の疲労を抑えます。
- 改善点: 低速でもたつくと感じるなら、Dを「2」に上げると駆動力が安定します。
⑧ スポーツ・エディション
- 設定:P1 / EB2 / T1 / D3
- 詳細: 「⑤ワインディング」との違いは、Dを「3」に落としている点。サーキットほど回しっぱなしにせず、峠道を速いペースで流すのに適した「大人のスポーツ」設定です。
- 改善点: 峠でのエンジンブレーキが物足りないなら、EBを「3」へ。
🔍 設定の整合性と「自分で行う改善」のコツ
似たような設定で迷ったときは、以下の**「優先順位」**で数値をいじってみてください。
- 「ギクシャクする」と感じたら:まずは EB(エンジンブレーキ)を「1」 に。これだけで解決することが多いです。
- 「加速が遅い・ワンテンポ遅れる」と感じたら:P(パワー)を上げる前に、D(シフトスケジュール)を一段上げてください。高い回転数を維持する方が、X-ADVのDCTは活発に動きます。
- 「右手の操作がシビアすぎる」と感じたら:P(パワー)を「3」 に。最高出力が減るわけではなく、開け始めがマイルドになるだけなので、実は最もコントロールしやすくなります。
運用のアドバイス
まずは ①常用ベスト と ②極上スムーズ をUSER 1・2にセットし、そこから「自分にとってのEBの強さの正解」を見つけるところから始めてみてください。
液晶メーターでの設定変更中、特定の項目がうまく反映されないなどのトラブルがあれば、いつでも解説します。まずはどのモードをUSER 1に登録してみますか?
2. 自信を持っておすすめする「本当のベスト」2選
数ある組み合わせの中で、実用上で最も完成度が高い「対極の2モード」を解説します。この2つを「USER 1」と「USER 2」に登録しておけば、ほぼ全てのシーンをカバーできます。
【USER 1】街乗り・常用ベスト・ライディングモード
設定:P2 / EB1 / T2 / D2
- P(パワー):2「1」だとドン突きが強く、「3」だと加速が重い。中間の「2」が最も自然なスロットルレスポンスです。
- EB(エンジンブレーキ):1(最重要!)X-ADVは低速時のエンブレが強めですが、ここを「1」にすることでギクシャクを消し、滑らかに減速・停止できます。
- D(シフトスケジュール):2標準のD1だとすぐに6速に入りたがり再加速が鈍いですが、「2」なら適切なトルクを維持してくれます。
- T(トラクションコントロール):2過敏すぎず、不意なパワーカットを防ぎながら安全を担保します。
【USER 2】雨天・タンデム・疲労時ライディングモード
設定:P3 / EB1 / T3 / D3
- P(パワー):3レスポンスをあえて寝かせることで、ラフな操作を許容し、疲労を軽減します。
- EB(エンジンブレーキ):1アクセルオフ時の急激な前荷重移動を抑え、同乗者のヘルメット接触を防ぎます。
- D(シフトスケジュール):3(通の設定)あえて回転数を少し高めに保つことで、低回転時のギクシャクを排除し、路面状況を掴みやすくします。
- T(トラクションコントロール):3最大介入。雨の日の白線やマンホールでも絶大な安心感を与えてくれます。
3. 運用のアドバイス
普段は USER 1 で快走し、天気が崩れたり疲れたりしたら USER 2 に切り替える。これが最もスマートな運用です。
さらに自分好みに近づけたい場合は、以下の微調整を試してみてください。
- もう少し元気に走りたい時: USER 1の D(シフトスケジュール)を「3」 に上げる。
- 峠の下り坂で楽をしたい時: USER 1の EB(エンジンブレーキ)を「2」または「3」 に上げる。
まずは「USER 1」の設定でいつもの道を走ってみてください。交差点を曲がる際の滑らかさ、立ち上がりの素直さに驚くはずです。
液晶メーターでの具体的な操作方法など、不明な点があればいつでもお聞きください。あわせて、他のカスタマイズパーツとの相性などもお調べしましょうか?
「①常用ベスト」と「②極上スムーズ」は、RH21型X-ADVの特性を深く理解したライダーが辿り着く**「結論」**と言っても過言ではありません。この2つがなぜ「絶対固定」レベルで推奨されるのか、その核心に迫ります。
さらに、この最強コンビに唯一対抗しうる、尖ったキャラクターの組み合わせもご紹介します。
💎 なぜ「①常用ベスト」と「②極上スムーズ」が最強なのか
この2つのモードが優れている最大の理由は、**「DCTの弱点を消し、長所を最大化している」**点にあります。
「常用ベスト(P2/EB1/T2/D2)」が最強である理由
多くのライダーを悩ませる「低速域のギクシャク」の正体は、強いエンジンブレーキ(EB)と、早すぎるシフトアップ(D1)の相性の悪さです。
- EB1の解放感: EBを最小にすることで、アクセルを戻した時の不自然なつんのめり感が消え、**「まるで極上のスクーター」**のような滑らかさを手に入れます。
- D2の機動力: 標準のD1ではすぐにトップギアに入りたがり、追い越し時にキックダウンを待つ「間」が生じます。D2に固定することで、常に美味しいトルクバンドをキープでき、**「右手に直結した加速」**が手に入ります。
「極上スムーズ(P3/EB1/T3/D3)」が最強である理由
雨の日や疲労時に「Dを落とす(回転を下げる)」のは実は間違いです。
- D3の安定性: 低回転で走ると、路面のμ(摩擦係数)が低い時にギクシャクが命取りになります。あえてD3で少し回し気味にすることで、駆動力が常にタイヤにかかり続け、車体が安定するのです。
- P3の包容力: レスポンスを寝かせることで、疲れてラフになったスロットル操作をバイク側が「おもてなし」でカバーしてくれます。
⚔️ 最強コンビに対抗できる「別解」の組み合わせ
「常用・スムーズ」が**『実用・快適』の頂点なら、以下の組み合わせは『悦楽・特化』**の頂点です。気分を変えたい時のもう一つの選択肢として提案します。このモードはおすすめリストの中に無い設定です。ロングツアラーはあるかもしれませんが、狂犬になることはあんまりないと思いますので。
対抗馬:【USER 1】超弩級・弾丸モード(P1/EB2/T1/D4)
コンセプト:リッターバイクを追い回す「狂犬」仕様
- 理由: P1とD4の組み合わせは、X-ADVを最も凶暴にします。常に高回転を維持し、右手を数ミリ動かすだけで750ccのトルクが牙を剥きます。EBを「2」に留めることで、強すぎるエンブレによる姿勢の乱れを防ぎ、リズム良く攻められます。
対抗馬:【USER 2】静寂のロングツアラー(P3/EB1/T2/D1)
コンセプト:1日500kmを無心で走る「巡航」仕様
- 理由: 徹底的に音と振動を抑える設定です。D1で早めにシフトアップし、P3で出力特性をマイルドに固定。高速道路の長距離移動で、風の音と景色だけに集中したい時にこれ以上の設定はありません。
💡 自分で行う「さらなる改善」のヒント
もし上記の設定でも「あと少しだけ……」と感じるなら、以下のワンポイント改善を試してみてください。
- 「常用ベスト」で足つき時に不安があるなら→ **EBを「2」**に上げてみてください。停止直前の「最後の一踏ん張り」でエンジンブレーキが軽く効くようになり、ブレーキレバーの微調整が楽になります。
- 「極上スムーズ」で燃費が気になるなら→ **Dを「2」**に下げてください。D3の安定感は減りますが、エンジン回転数が下がり、静粛性と燃費が向上します。
結論
結論として、「常用ベスト」と「極上スムーズ」は、RH21の完成形です。まずはこの2つを「絶対固定」としてUSERモードに刻み込み、その上で自分のライディングスタイルに合わせて、EBやDの数値を±1する……という使い方が、最も失敗のないカスタマイズです。
まずはこの「最強コンビ」をセットして、いつものお気に入りの道を走ってみませんか?その変貌ぶりに、きっともう一度X-ADVに惚れ直すはずです。
